2021年1月23日 1:21 PM
投球線(球道)に対してバットと両肩を結ぶ線を90°にするのが理想

科学する野球・打撃篇,p.70,図66

復習の意味も込めて,中心衝突について再度確認します.
- トンカチと釘を中心衝突させると,トンカチの柄は釘に対して90°になる.したがって,バットとボールを中心衝突させるためには,バットは投球線(球道)に対して90°にしなければならない.
- インパクト後,中心衝突でボールを打ち返すためには,バットと投球線(球道)の角度を90°に保ったまま両腕を投球線(球道)の方向に伸ばさなければならない.
- インパクト時にバットと両肩を結ぶ線は平行となり,それぞれ投球線(球道)に対して90°になる.
『「科学する野球」バットとボール(球道)とは90°で衝突させる④-中心衝突させないとホームランは打てないのか』で述べたように, 投球線(球道)と打球線(弾道)が一致する中心衝突が理想の打ち方になりますが,実際は偏心衝突でも球威に負けることなく自分の打ちたい方向へ強打しているパワーヒッターもいます.
中心衝突させないと,100mphのボールをホームランにすることはできないのか
打球が飛ぶ方向に注目してください.投球線(球道)の方向に打球が飛んでいれば中心衝突,飛んでいなければ偏心衝突になります.
100mphの威力あるボールをホームランにするには,さすがに偏心衝突では難しく,おそらく中心衝突で打者は打ち返しているであろうと予想していましたが,動画を見ると,投球線(球道)と打球線(弾道)が一致していないケースが多く見られます.
MLBの打者は体格が大きな上に合理的な動作を行っているので,投手がどれだけ速いボールを投げようとも,たとえ偏心衝突であっても,ボールの威力に負けないパワーを持ち合わせているようです.
速球系以外のボールはどの方向に打っても構わない
投手の投げるボールは球威のある4シームばかりでなく,変化系,スロー系のボールもあります.トンカチで釘を打つときの釘はストレートの球道を表し,変化系,スロー系のボールは該当しません.
まっすぐ来るボールでなければ,クギを打つことにならず,中心衝突,偏心衝突は成り立たないため,打者はどの方向に打ってもよいことになります.
速球系のボール(特に4シーム)は釘に該当するので,中心衝突と偏心衝突があてはまります.
まっすぐ来るボールに対して中心衝突させるには,村上氏のいわれるように投球線(球道)と打球線(弾道)が一致することが理想ですが,偏心衝突をものともしないパワーがあるのならば,打球線(弾道)に対して両肩を結ぶ線とバットを90°に交わらせるという考え方でも問題ないかと思われます.
MLBの打者は100mphの4シームを偏心衝突でもホームランにしているので,そこまで中心衝突にこだわらなくてもよいかもしれません.
また,試合で速球系のボールがこのコースに来たらこの方向に打とう,変化系,スロー系のボールが来たら自分の打ちたい方向に打とう,などと考えて打席に立つのは現実的ではありません.
村上氏の中心衝突の理論については,投球線(球道)と打球線(弾道)が一致することが理想であることを理解しておけばよいかと思います.
ただし,自分の打ちたい方向に打つ場合,どのような球種のボールであっても,インパクトで強打するためには,打球線(弾道) に対して両肩を結ぶ線とバットの角度は90°で交わらせる必要があります.