2020年12月24日 11:28 AM
インパクト後,手首をすぐに返してはいけない
「科学する野球」では,トンカチとクギの加撃理論が何度も登場します.トンカチはバット,クギは球道を表します.
トンカチとクギとを中心衝突させても,そのあとすぐにトンカチを握っている手をこねると,トンカチの頭はクギからはずれてしまい,十分なエネルギーをクギに与えることができません.ですから中心衝突で打ち終わったあとも,手をこねないでトンカチの頭に「残心」を保たなければなりません.これと同じことがバッティングでもいえます.
また,手首を返しますと,後ろ腕の力に前腕が負けて,前腕が伸ばされることなく折りたたまれ両腕を伸ばすことができません.インパクト後,両手を伸ばすことなく振られたバットの遠心力は,両腕を伸ばして振られたバットの遠心力より小さいのですから,打球も遠くに飛ばなくて当然といえます.
ですから,インパクト後すぐに手首を返してはならないのです.インパクト後は手首の返しではなく,両腕をまっすぐに伸ばすことだけを考えればよいのです.両腕をまっすぐに伸ばし切った時点で,バットに働いた遠心力で,写真14のように手首は返らざるを得なくなります.手首は返すのではなく返るものなのです.
引用元:科学する野球・打撃篇,pp.50-52

釘を打った後,手をこねたり手首を返すとクギに力が伝わらないので,バットでボールを打つ場合もインパクト後,手をこねたり手首を返さず,両腕をまっすぐ伸ばしてボールを打ち抜かなければならないと説明されています.
中心衝突させても,手をこねると偏心衝突になるので打球は飛びません.
手首は返すのではなく返るもの

引用元:科学する野球・打撃篇,p.53,写真15
日本の野球界には,インパクト後すぐに手首を返せという指導がいまだに根強く残っています.これは,インパクト後 すぐに手首を返して,後ろ腕の力をバットに加えて,ボールの力をはね返そうとする考えから行われたものですが,とくに戦前の中学(現高校)野球,大学野球では,
引用元:科学する野球・打撃篇,pp.52-54
(イ)バットは水平に振れ.
(ロ)上体をかぶせて前で打て.
(ハ)インパクト後すぐに手首を返せ.
を水平打法の基本として指導していましたから,こういう指導を受けた方たちから,戦後の青少年でこれを受け継いでいる方たちまでを含めると,その数はいまもなお相当数に上るはずですから,インパクト後すぐに手首を返してはいけないといっても,この方たち全部に洗脳してもらうには時間のかかることだと思われます.現にマスコミ評でインパクト直後のすばらしい手首の返しといった表現がいまだに見聞される有様です.とにかく,日本の野球界から, インパクト直後の手首の返しという誤った常識を早く追放しなければなりません.
インパクト後すぐに手首を返すと,偏心衝突を起こしてボールに力を加えることができなくなります.手首を返して強い打球を打つことも可能ですが,トンカチで手首を返して釘を打つ難しさ,確率の低さを考えると,合理的な打ち方とはいえません.
両ヒジの締まり-三角形と五角形
2021年4月11日
インパクト後,両腕を伸ばすと,グリップと肩を結ぶ線が三角形になります.
(8)両ヒジの締まり-三角形と五角形
引用元:科学する野球・:ドリル篇,p.236
(イ)良い例(図①)
インパクト後,ボールの芯を打ち抜くまで両腕を伸ばすのであるが,この時点でも,ボトムハンドは内捻し,トップハンドは外捻していなければならない.この両腕の捻りで両ヒジが締まり,グリップと肩の線とで三角形を形成する.インパクトで両腕を伸ばすのではない.間違わないように.
(ロ)悪い例(図②)
両腕を捻らないで,両手の手もとを起こすと,両ヒジが開き,図②のように,五角形を形成し,ボールを打ち抜くことができない.

引用文の「インパクト後,ボールの芯を打ち抜くまで両腕を伸ばすのであるが,この時点でも,ボトムハンドは内捻し,トップハンドは外捻していなければならない」について解説します.
まず,インパクト後,両腕を伸ばした状態を確認します.このとき手首は返っていないので,トップハンド(後ろ腕)は手の甲が下向き,ボトムハンド(前腕)は手の甲が上向きになります.
「科学する野球」では,回内を内捻,回外を外捻に置き換えています.
- 外側に手を返す動作が外捻(回外)
- 内側に手を返す動作が内捻(回内)

- 回外(「科学する野球」では外捻)すると手の甲は下を向く
- 回内(「科学する野球」では内捻)すると手の甲は上を向く
インパクト後,両腕を伸ばしたときに,トップハンド(後ろ腕)の手の甲が上向き,ボトムハンド(前腕)の手の甲が下向きになっていれば,手首を返して打っていることになる
引用元:https://www.study-channel.com/2015/06/ROM-upper-limbs.html
インパクト後,手首を返さないようにするには,両腕を伸ばしたときに,
- トップハンド(後ろ腕)の手の甲が下向き(回外)
- ボトムハンド(前腕)の手の甲が上向き(回内)
になっていなければなりません.
インパクトのときに,トップハンド(後ろ腕)の手の甲は下向き,ボトムハンド(前腕)の手の甲は上向きになります.このままボールを押し込んでいけば,腕を伸ばしても手の甲の向きは変わらないはずです.
腕を伸ばしたときに,トップハンド(後ろ腕)の手の甲が上向き,ボトムハンド(前腕)の手の甲が下向きになっていれば,手首を返して打っているということになります.