2022年9月10日 12:41 AM
トップハンドを掌屈する
後ろヒジのかい込み
前述の通り,バックスイングからフォワードスイングに移るときに,体の後ろサイドに張りをいれるのは打者も投手と同じで,このあと,投手は投球腕のヒジを,ボールを握っている手より先行させ,ボールを後ろにタメて,フォワードスイングに移るのだが,打者もバットを後ろにタメるのに,写真87のように,投球腕に当たる後ろ腕(トップハンド側の腕)のヒジをトップハンドよりも先行させて,フォワードスイングに移ります.この後ろヒジの動きは,投手がサイドスローで投げるときと同じであり,トップハンドの動きは,投手がサイドハンドでカーブを投げるときと同じです.ですから,打者は,前足をステップして,体の後ろサイドに張りをいれた後は,実際には投げないのだけれども,バットをサイドハンドでカーブをかけるように投げるような気持ちで,後ろ腕のヒジと手(トップハンド)を使って,フォワードスイングに移ればよいわけです.このようにして,後ろヒジをトップハンドよりも先行させヘソの前までかい込むと,後ろ脇が自然に締まります.この後ろ脇の締まりはインパクトの時点まで継続されるから,後ろ腕はボディとワンピースとなって打つことができます.
引用元:科学する野球・実践篇,pp.201-202
引用文では,トップハンドをサイドスローでカーブを投げるように打つことが,後ろ肘をかい込みするための正しい動作とされていますが,トップハンドを掌屈して後ろ肘をかい込む方法もあります.

掌屈とは上図のように手の平側に曲げることをいうので,トップハンドを巻き込むようにバットを握ります.バックスイングからトップハンドを掌屈すると,肘が先行してバットを後ろにタメることができます.

テッド・ウイリアムズ選手のかい込み
- テッド・ウイリアムズ選手は,顔が投手の方を向き,肩も回って投手にほぼ正対しているが,バットは後ろにタメられている
- テッド・ウイリアムズ選手のトップハンドは少し掌屈しているか,掌屈も背屈もしていないように見える
- トップハンドを掌屈(手の平側に曲げる)すると,バットを体に巻き付けてタメをつくることができる
- トップハンドが背屈(手の甲側に曲げる)すると,バットが体から離れ,バットのタメはなくなる
引用元:科学する野球・打撃篇,p.76,写真23
パワーヒッターのかい込み

引用元:https://www.youtube.com/watch?v=7xgig_Fo1hQ&t=1s

引用元:https://www.youtube.com/watch?v=bOqekzrbnlE
動画では手元がぼやけてはっきりとは確認できませんが,ジャッジ,ゲレーロ両選手ともにトップハンドの背屈はしていないようです.しかし,掌屈しているようにも見えません.
他の選手の動画も観ましたが,はっきりとトップハンドを掌屈している選手は確認できませんでした.おそらく,バックスイングからトップハンドを掌屈してフォワードスイングに入ると,「スナップ打法」となり,「空手打法」で打つことが難しくなることが理由として考えられます.
空手打法で打つためにはトップハンドは掌屈も背屈もしていない方がよく,ほとんどの選手は空手打法(完璧に打てているかは別)で打っているため,トップハンドを掌屈して後ろ肘のかい込みをしている選手はほぼ見当りません.
後ろ肘をかい込む際には,トップハンドの掌屈は意識せず,村上氏の説明のとおり,サイドスローでカーブを投げるようにバットを振ることをお勧めします.
フライングエルボーにしておくと,後ろ肘をかい込みやすくなる
後ろ肘をかい込む動作では,肘を先行させますが,肘を先行させるためにはフライングエルボーにしておく必要があります.
フライングエルボーにしておくと,ヒッチ動作の反動を利用して肘を先行させやすくなります.肘が張っていない構えから後ろ肘をかい込みしても,力強い肘の先行にはなりません.

引用元:科学する野球・実践篇,p.37,図16