2022年9月10日 12:19 AM
バックスイングからフォワードスイングに移るときに必要となる重要な動作「後ろ肘のかい込み」について,解説します.
サイドハンドでカーブを投げるようにバットを振る
ワキを締めてバットをタメるには,後ろヒジのかい込みが必要となります.「科学する野球」で後ろヒジのかい込みについて書かれている部分を引用します.
後ろヒジのかい込み
前述の通り,バックスイングからフォワードスイングに移るときに,体の後ろサイドに張りをいれるのは打者も投手と同じで,このあと,投手は投球腕のヒジを,ボールを握っている手より先行させ,ボールを後ろにタメて,フォワードスイングに移るのだが,打者もバットを後ろにタメるのに,写真87のように,投球腕に当たる後ろ腕(トップハンド側の腕)のヒジをトップハンドよりも先行させて,フォワードスイングに移ります.この後ろヒジの動きは,投手がサイドスローで投げるときと同じであり,トップハンドの動きは,投手がサイドハンドでカーブを投げるときと同じです.ですから,打者は,前足をステップして,体の後ろサイドに張りをいれた後は,実際には投げないのだけれども,バットをサイドハンドでカーブをかけるように投げるような気持ちで,後ろ腕のヒジと手(トップハンド)を使って,フォワードスイングに移ればよいわけです.このようにして,後ろヒジをトップハンドよりも先行させヘソの前までかい込むと,後ろ脇が自然に締まります.この後ろ脇の締まりはインパクトの時点まで継続されるから,後ろ腕はボディとワンピースとなって打つことができます.
引用元:科学する野球・実践篇,pp.201-202
引用文で使われている「かい込み(掻い込み)」とは,「わきの下に抱え込む」という意味です.
引用文の内容をまとめると,次のようになります.
投手がバックスイングからフォワードスイングに移るとき
- 投球腕のヒジを,ボールを握っている手より先行させ,ボールを後ろにタメて,フォワードスイングに移る
打者がバックスイングからフォワードスイングに移るとき
- 投球腕に当たる後ろ腕(トップハンド側の腕)のヒジをトップハンドよりも先行させて,フォワードスイングに移る
- 後ろヒジの動きは,投手がサイドスローで投げるときと同じ
- バットをサイドハンドでカーブをかけるように投げるような気持ちで,後ろ腕のヒジと手(トップハンド)を使って,フォワードスイングに移ればよい

後ろヒジをかい込む動作
- 後ろ腕(トップハンド側の腕)の肘をトップハンドよりも先行させている
- バットをサイドハンドでカーブを投げるように振る
- 脇が締まり,肘が先行してバットが後ろにタメられている
引用元:科学する野球・実践篇,p.202,写真87
壁際の素振り
村上豊氏は,後ろ肘のかい込みを行うための練習方法として,壁際の素振りを勧めています.
そこで,図132のように,壁に正対して立ち,バットを構えてください.壁との距離はバットの長さとします.そして,この壁にバットの先が当たらないように,勢いよくスイングしてみましょう.どうですか,壁に当てないでバットを振り抜くことができますか.できなければ次の要領でやってみてください.
(1)ステップした前足(脚)を捻りの軸とし,前腰に捻りをいれるために肩を回す.
(2)このとき,後ろヒジをトップハンドよりも先行させ,ヘソの前にかいこみ,バットを後ろ
にタメ, バットを体に近づける
(3)トップハンドをサイドスローでカーブを投げるように動かして,後ろ腕を伸ばす.それと
ともに,ボトムハンドの手の甲を空のほうに向けたまま,ボトムハンド側の腕を伸ばす.それでもまで壁に当たるというのならば,それはグリップが正しくないからです.正しいグリップとは,既に述べておいたと通りフックグリップで,前述の要領の第3項の手や腕の動かし方は,このフックグリップを前提にしており,トップハンド側の手や腕は,フォアハンドの空手打ちを,ボトムハンド側の手や腕は,バックハンドの空手打ちを行っているのです.
引用元:科学する野球・実践篇,pp.202-204

壁際の素振り
- 壁に正対してバットを構える
- 壁との距離はバットの長さとする
- 壁にバットの先が当たらないように,勢いよくスイングする
壁に当たる場合
- 後ろ肘をトップハンドよりも先行させ,ヘソの前にかいこむ
- トップハンドをサイドスローでカーブを投げるように動かして,後ろ腕を伸ばす.
- ボトムハンドの手の甲を空のほうに向けたまま,ボトムハンド側の腕を伸ばす
引用元:科学する野球・実践篇,p.203,図132
この壁際の素振りについては,怪我をする可能性があるため,あまりお勧めしません.
引用文には,かい込みを行う際にフックグリップが前提となり,トップハンド側の手や腕は,フォアハンドの空手打ちを,ボトムハンド側の手や腕は,バックハンドの空手打ちを行うと説明されています.
ゴルフ用語が入っているのでわかりにくくなっていますが,トップハンドは掌屈(手の平側に曲げる),ボトムハンドは背屈(手の甲側に曲げる)してバットを握るということです.