「科学する野球」“助っ人”外国人選手のアドバイス-フライングエルボーで打つ理由


2021年2月16日 6:25 PM

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日本の選手の構えは,みんな,こんな感じだ.これじゃ,パワフルなバッティングはできっこない.

引用元:科学する野球・実技篇,p.19,図7

 さて,図7は,パットナム選手が日本の野球について語った記事の中に掲載された写真をイラスト化したものですが,パットナム選手はこのような格好をして見せて,

日本の選手の構えは,みんな,こんな感じだ.これじゃ,パワフルなバッティングはできっこない.パワーの素質はあるのに,それをむざむざ殺しているのさ」と述べています.

 この彼の発言には,さすがに元大リーガーだけあって,鋭い観察力で日本の選手の動作をよく見ているなと感心させられるとともに,日本の野球界によいアドバイスをしてくれたものだとありがたく思いましたが,日本の野球界で,どれほどの人がこれをグッド・アドバイスとして受け取ってくれただろうかと思うのです.

 というのは,彼の発言の中で,「これじゃ,パワフルなバッティングはできっこない」と述べていますが,それはなぜかということが述べられていませんので,これだけでは納得できないのではないかと思われるからです.

 とくに,自然体で構えるのがよいのだと信じ込んでいる方は,何をいっているのだ,こちらが教えてやりたいぐらいだ,と思われるでしょうから,そのような考えを持っておられる人には,決してアドバイスとして受け取られるはずがないと思われるからです.

 つまり,日本の野球選手には,理論的な説明がないと受け入れられにくいのですが,もともと,自分で決めた規準内の野球以外は認めようとしない偏狭さがあって,なかなか他人様のいうことを聞きいれようとはしないようです.

 とくに,アメリカ野球の技術に対しては,あれはアメリカ人には向いているけれども,彼らとは体の大きさが違うのだから,日本の選手には不向きで,マネてはいけないといって,同じ人間がすることなのに,本当に不向きであるかどうかも検討しないで,勝手に不向きだと決めつけてしまい,彼らの動作に合理性があることに気付かないで,彼らとの差は技量差ではなく,体格の差に過ぎないと安易に割り切り,けっこう,自分たちの野球だって彼らに劣らないハイレベルだと自惚れているから,彼らのせっかくのよいアドバイスも無視してしまうことになるようです.

 事実,パットナム選手がこのようにせっかくよいアドバイスをしてくれても,チームメートでさえも,彼の言に従い,構え方を改めたという日本選手を見かけない有様です.

 ここはひとつ,彼らとても,決して理論的に追求しているとはいえないけれども,あの打球のスピードと,あの飛距離を見せつけられては,そこに何か理にかなったものがあるのではないかと,一歩下がって,彼らのいうことに耳を傾けるべきではないでしょうか.

引用元:科学する野球・実技篇

 引用文の中で,パットナム選手は図7のような構えではパワフルなバッティングはできないといっています.

 では,どのようにかまえ構えればよいのかというと,パットナム選手は,「後ろ腕の肘を横に張り出して,フライング・エルボーで構えなければ,強い打球は打てない」といいたいわけです.

 現在は高校野球でもフライング・エルボーで構える選手が多くなっていますが,当時はプロ野球でもフライング・エルボーで構える選手はほぼいませんでした.なぜなら,体の回転で打つという考え方が主流になっていたからです.

背骨を回転軸にして,コマのように回転することはできない

グリップを体の前に突き出して構える掛布雅之選手 
体の中心の仮想の回転軸で回転して打つことを意識しているため,フライング・エルボーの構えになっていない
引用元:科学する野球・打撃篇,p.89,写真26
通算382本塁打の原辰徳選手もフライング・エルボーで構えていない
引用元:科学する野球・打撃篇,p.88,写真24,25

 昔の選手は,剣道の竹刀を握るように身体の前でバットを構え,後ろ肘を張らず,身体の回転で打つことが主流で,助っ人外国人選手以外はフライングエルボーで打つという意識はありませんでした.

 「科学する野球」では,打者がボールを打つときの構えで回転軸を考えたときに,背骨を回転軸にするとしても,股下からの軸がないのでコマのように回転して打つことはできないとしています.

引用元:科学する野球・ドリル篇,p.214,図③,④
引用元:科学する野球・ドリル篇,p.214,図⑤,⑥

 図3のコマの回転から,回転は回転スピードなりに,回転軸ごと回転体とも等速で回ることを知る.

 体(とくに腰)の回転で打つと考えると,図④のようになるが,背骨を回転軸としても,股下からの軸がないから,コマの回転軸の支点となるものがないので,軸で回転するというのだが,図⑤の人体の中にコマを描き入れてみると,図⑥となり,図⑥の中のコマだけを取り出してみると,図⑦となるが,このコマが回転するとは考えられない.人体の現実の姿は,図⑧,⑨,⑩のように,二本の足(脚)で支えられているコマと同じだから,このコマが回転しないように人体も回転しないはずである.

引用元:科学する野球・ドリル篇
引用元:科学する野球・ドリル篇,p.215,図⑦,⑧
引用元:科学する野球・ドリル篇,p.215,図⑨,⑩

 掛布選手のように仮想の回転軸で打つのも一つの打法ですが,MLBの投手の力のあるボールを遠くに飛ばそうとすれば,パットナム選手のアドバイスのようにフライングエルボーで後ろ肘を張って構え,ヒッチ動作を利用してスイングスピードを加速させることも必要になってきます.

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