「科学する野球」“助っ人”外国人選手のアドバイス-アドバイスを無視する日本野球界の体質


2023年6月18日 3:56 PM

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フライングエルボーで構える必要性を説くパットナム選手

 「科学する野球」で日本の野球界の体質に言及している記事を紹介します.

日本の選手の構えは,みんな,こんな感じだ.これじゃ,パワフルなバッティングはできっこない.

 さて,図7は,パットナム選手が日本の野球について語った記事の中に掲載された写真をイラスト化したものですが,パットナム選手はこのような格好をして見せて,

「日本の選手の構えは,みんな,こんな感じだ.これじゃ,パワフルなバッティングはできっこない.パワーの素質はあるのに,それをむざむざ殺しているのさ」と述べています.

 この彼の発言には,さすがに元大リーガーだけあって,鋭い観察力で日本の選手の動作をよく見ているなと感心させられるとともに,日本の野球界によいアドバイスをしてくれたものだとありがたく思いましたが,日本の野球界で,どれほどの人がこれをグッド・アドバイスとして受け取ってくれただろうかと思うのです.

 というのは,彼の発言の中で,「これじゃ,パワフルなバッティングはできっこない」と述べていますが,それはなぜかということが述べられていませんので,これだけでは納得できないのではないかと思われるからです.

 とくに,自然体で構えるのがよいのだと信じ込んでいる方は,何をいっているのだ,こちらが教えてやりたいぐらいだ,と思われるでしょうから,そのような考えを持っておられる人には,決してアドバイスとして受け取られるはずがないと思われるからです.

 つまり,日本の野球選手には,理論的な説明がないと受け入れられにくいのですが,もともと,自分で決めた規準内の野球以外は認めようとしない偏狭さがあって,なかなか他人様のいうことを聞きいれようとはしないようです.

 とくに,アメリカ野球の技術に対しては,あれはアメリカ人には向いているけれども,彼らとは体の大きさが違うのだから,日本の選手には不向きで,マネてはいけないといって,同じ人間がすることなのに,本当に不向きであるかどうかも検討しないで,勝手に不向きだと決めつけてしまい,彼らの動作に合理性があることに気付かないで,彼らとの差は技量差ではなく,体格の差に過ぎないと安易に割り切り,けっこう,自分たちの野球だって彼らに劣らないハイレベルだと自惚れているから,彼らのせっかくのよいアドバイスも無視してしまうことになるようです.

 事実,パットナム選手がこのようにせっかくよいアドバイスをしてくれても,チームメートでさえも,彼の言に従い,構え方を改めたという日本選手を見かけない有様です.

 ここはひとつ,彼らとても,決して理論的に追求しているとはいえないけれども,あの打球のスピードと,あの飛距離を見せつけられては,そこに何か理にかなったものがあるのではないかと,一歩下がって,彼らのいうことに耳を傾けるべきではないでしょうか.

引用元:科学する野球・実技篇、pp.19-21

 引用文の中で,パットナム選手は図7のような構えではパワフルなバッティングはできないといっています.

 では,どのように構えればよいのかというと,パットナム選手は,「後ろ腕の肘を横に張り出して,フライング・エルボー で構えなければ,強い打球は打てない」といいたいわけです.

 しかし,元メジャーリーガーのアドバイスであっても,

  • 日本の野球選手は理論的な説明がないと受け入れない
  • もともと,自分で決めた規準内の野球以外は認めようとしない
  • アメリカ人には向いているけれども,彼らとは体の大きさが違うのだから,日本の選手には不向きで,マネてはいけない
  • 彼らとの差は技量差ではなく,体格の差に過ぎない
  • けっこう,自分たちの野球だって彼らに劣らないハイレベルだと自惚れている

 という理由により,パットナム選手のアドバイスは無視されることになります.

 柳田悠岐選手のように,バリー・ボンズ選手の打法を真似してやってみようと考える選手はなかなか出てきません.

彼らとは体の大きさが違うのだからマネてはいけない

 村上氏は,30年以上前に「科学する野球」の中で,フライング・エルボーで構えなければならないことを指摘していました.しかし,パットナム選手のアドバイスと同様に無視されています.

 現在ではフライング・エルボーで構える選手が多くなっていますが,フライング・エルボーで構えることに対して特に批判が出ていることもないようです.フライング・エルボーが受け入れられた経緯はよくわかりません.

 日本の野球界は,村上氏が指摘しているように「自分で決めた規準内の野球以外は認めようとしない偏狭さ」をもっているようなので,誰かが正しいことを指摘しても,聞き入れようとはしません.

 本サイトでは,「科学する野球」の中から,村上氏が解明したメジャーリーガーの合理的な動作を掘り起こして,皆さんに再提示しています.

 村上氏の指摘するように,日本の野球界には「彼らとの差は技量差ではなく,体格の差に過ぎないと安易に割り切り,けっこう,自分たちの野球だって彼らに劣らないハイレベルだと自惚れている」という側面があるようです.

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