2020年12月8日 12:07 AM
木製バット工房「匠」のホームページから,木製バットの手入れに関する記事を引用します.
バット職人の「木製バットの手入れ」
乾いた布で泥を落とし,ビール瓶で木目を詰める
まず、1番の木製バットの手入れとしては、バットに付着した泥を落とすことです。
引用元:http://www.mr-takumi.jp/description/care.html
木製のバットは木材です。試合や練習中に小石などがバットにくいこんだ状態でボールを打つと、どんどん打ち味が悪くなっていきます。損傷から折れやすくなります。使用後は必ず乾いた布(ウエス)で拭いて下さい。
但し木製バットは水分が大敵。決して水に濡らさないようにから拭きで。水で丸洗いなどは絶対に禁物です。
次に打ち味(反発力を高める方法)として知られているのが、ヘッド部分を研ぐことで「木目を詰める」ことです。これはご家庭にあるビールの中瓶等(昔は「牛のツノ」「牛の骨」で行うものと言われていました)を用意してバットのボールが当たる部分に 全体重をかけてキュッキュッと押しつけます。
これは、特にホワイトアッシュ(軟式用)のバットに効果的です。そもそもアッシュ材の性質上はボールを何度も打っていると木材が凹んでボコボコになってきます。その凹んでいる部分を成らすことで打ち味を良くします。表現としては磨くと言うわけではなく押し込むというものです。
「科学する野球」では牛の骨でバットをこするとありましたが,昔は「牛のツノ」,「牛の骨」で行うものとされていたようです.ビールの中瓶等で木目を詰めてもよいとのことで,特に軟式用のバットに効果的ということです.
木製バットの保管方法
なるべく直射日光の当たらない場所で、風通りの良い場所で保管してください。
引用元:http://www.mr-takumi.jp/description/care.html
木材はバットの形になり、塗装をしたとしても空気と水分が出入りしています。そうすると木材は本来の姿(木工では木の癖と呼びます)に戻ろうとします。本来の姿とは、自然の木は太陽の方に傾くもので真っ直ぐ立っている訳では ございません。必ず反っているものです。木材として使われるときに人間に真っ直ぐに加工されるものです。
つまり、日光が当たり水分を多く含むと自然に生きていた木の癖が出て自然に反ってしまうということです。ですので、保管場所には十分気をつけて下さい。
次に、木製のバットは保管する時に、斜めに立てかけると良くないという話がありますが、確かに木製バットは自然のものですので、クリープ現象(材料に荷重を加えたときに、時間とともに変形が増大していく現象のことをいいます。)を起こすことがあります。つまり斜めに立てることで、木製バットが反ってしまうのです。
但し、これは斜めに3年間放置しておくと、少し反るといった程度ですので、1日でクリープ現象が起きるということは、ほとんどなく、大げさな表現になります。完全に真横にして保管することもお薦めです。イチロー選手もやっているそうです。
1番良いのは「垂直に立てる」ことですが、私は完全に「真横」にして保管することを お薦め致します。かのイチロー選手も、ベンチに戻るとスペースを空けて真横にバットを 置いているそうです。
バットを直射日光の当たらない、風通しの良い場所で保管すること,また,イチロー選手のようにバットを真横に保管することが推奨されています.
長嶋茂雄選手のバットへのこだわり
長嶋茂雄選手が現役時代,バットをどのように手入れしていたかについて記事を引用します.
一流選手のバットへのこだわり
長嶋茂雄さんは牛骨で磨くこだわり/強打者とバット
[2017年2月10日8時31分 紙面から]
侍ジャパンの4番筆頭候補、DeNA筒香嘉智外野手(25)が9日、ニューバットでワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に出場することを明言した。打率アップにつなげるため、芯の位置をわずかに下げた特注バットを体になじませた。
◆強打者とバット 長嶋茂雄は牛骨でバットを磨いた。バットの芯を牛骨でなでると、牛骨の脂が木目に染み込み、その後に布で拭いて光らせていた。ロッテ時代の落合博満は米国からルイビル社製バットを200本取り寄せた。木目をチェックし、手の甲で芯の部分をたたいてその音で見極め、試合用に10本ちょっとを選び出した。イチロー、松井秀喜はオフにミズノの工場を訪問し、バット作りの名人・久保田五十一氏に依頼。イチローは巨人篠塚モデルで、ヘッド幅60・5ミリという細いものを使用。松井は96年に本塁打量産を目指し、左手のグリップの位置からヘッド部分にかけてバットをV字に削る「V字形」に変更。前年の22本から38本に本塁打を増やした。
引用元:https://www.nikkansports.com/baseball/wbc/2017/news/1776848.html
バット職人の吉森建樹氏によると,バットをこするのはビールの中瓶等でもよいとのことでしたが,この記事では牛骨の脂が木目に染み込んでバットに光沢が出るということが書かれています.
長嶋茂雄が自著『野球は人生そのものだ』(日本経済新聞出版社)でこう書いている。<選手の晩年でもバットの芯のところを牛骨でよくなでた。牛骨でなでると、牛骨の脂がウッズの目に染み込み、そのあとを布でサァッと乾拭きすると、ピカピカになる。見ただけで打てそうな気がする。こういうことをすればバットに対する愛情もわくし、以心伝心というのか、用具にそれだけ愛情と執着を注げば、必ず結果が出るだろうと思った。だからプロ選手になってロッカーと我が家に牛骨を欠かしたことはない>
引用元:https://www.ninomiyasports.com/archives/12215
そう言えば息子(一茂)を球場に忘れても、ミスターがバットを忘れて帰ったという話は聞いたことがない。用具への「愛情と執着」がミスターを大打者に育て上げたのだ。
三冠王3度の落合博満(現中日監督)もバットへのこだわりは尋常ではなかった。梅雨時、湿気を含むためバットは若干、重くなる。必然的にスイングも鈍る。落合はそれを防ぐためジュラルミンのケースの中にバットを保管していた。
最近ではイチローが“良き手本”か。数年前、バッターボックス付近に置いてきたバットをアンパイアが足でどかし、血相を変えて怒ったことがあった。イチローにとってバットは自分の魂も同然なのだろう。
「科学する野球」では,技術論だけでなくバットの選び方から手入れ,重さについても述べられています.引用文も含めて参考にしていただければと思います.