2020年10月30日 10:54 AM
「科学する野球」とは,村上豊氏によって書かれた野球技術書です.氏が大リーガーのプレーからその合理性を追求すること30余年,その多年の研究成果がまとめられています.
- 科学する野球<投手篇>(1984)
- 科学する野球<打撃篇>(1985)
- 科学する野球<守備・走塁・練習篇>(1985)
- 科学する野球<実践篇>(1986)
- 科学する野球<実技編>(1987)
- 科学する野球<ドリル篇>(1989)
- 科学する野球<トレーニング篇 上>(1993)
- 科学する野球<トレーニング篇 下>(1994)
野球界に横行しているウソを見破る
カバーに記載されている文章を引用します.引用の内容から「科学する野球」がどのような書であったかがわかります.
野球界に横行しているウソの常識では,選手はとまどってしまいます.指導者は自分の経験だけを押しつけるのではなく,もっと科学的に技術を分析し,理屈に合った技術指導が必要です.いままで野球技術の常識のウソが解明されてきましたが,本書はその集大成といえるものです.「野球は運動であるから物理に支配されている.この物理の尺度に照らし合わせれば,技術指導のウソが見抜ける」―これが,この本のテーマです.
引用元:科学する野球・投手篇
今まで常識とされていた野球理論の中には,数多くの”ウソ”がひそんでいます.指導者もプレーヤーも,この”ウソ”を見抜かないと技術の向上は考えられません.本書は 「野球は運動であるから物理に支配されている.この物理の尺度に照らし合わせれば,技術指導のウソが明らかになる」をテーマに,打撃理論の常識の”ウソ”を徹底解明しました.
引用元:科学する野球・打撃篇
医者が間違った診断,治療をしたら完治するものも,治らないように,野球理論も間違った技術論,ウソの野球論を指導したり,身につけていたのでは,いつまでたっても技術の向上は望めません.ところが残念なことに,現在の野球界にはウソの野球技術論が横行しているから困ったものです.
引用元:科学する野球・守備,走塁,練習篇
本書は,数多い野球技術論のウソを,科学的に徹底解明しました.きっと的確で,正しいアドレスが得られるはずです.
野球で必要とする力を生むのはフォームではなく,合理的な身体動作です.しかし,日本の野球界は,合理的身体動作,野球動作より,従来から継承された野球技術を,なんの疑いもなくそのまま受け入れています.そのために,現代にはまったくマッチしない理論が幅をきかせ,科学的にみて,どうしても理屈に合わないことなどを平気で見過ごしているのです.本書はこうした従来の因習を打破し,合理的,科学的に野球技術をとらえた画期的な指導書です.
引用元:科学する野球・実践篇
アメリカ大リーグと日本のプロ野球の差は,”技量の差というより体格の差だ”と決めつける風潮がありますが,果たしてそうなのでしょうか―.否です.アメリカ大リーグの多くの選手は,合理的な動作を身につけていますが,日本選手の多くは,合理的に体を使ってはいません.本書では,そうした動作の違いを,実際のプレーに照らし合わせて解説した指導書です.今後は従来の因習を打破して合理的,科学的な動作を身につけてください.
引用元:科学する野球・実技篇
従来の野球指導書は,ともすると自分の知識や経験だけに基づいて少年たちを教える嫌いがありました.しかし,運動の法則に反した非合理的な練習は実りのない努力といえましょう.
引用元:科学する野球・ドリル篇
著者は科学に根ざした練習こそが野球上達の早道だとして,大リーガーのプレーからその合理性を追求すること30余年,その多年の研究成果をまとめて,目から直感的に合理的な動作を学習できるようにしたのが本書です.野球を志す多くの人々の坐右の書として,ご利用をおすすめします.
大リーガーのプレーからその合理性を追求
「科学する野球」には合理的な動作ということばが頻繁に出てきます.この合理的な動作はメジャーリーガーが行なっている動作のことです.つまり,日本の選手は非合理的な動作で野球をしているので、上達するためにはメジャーリーガーの合理的な動作でプレーしなければならないということが前提となっています.
当時はメジャーリーガーのプレーを動画で観る機会はほぼなく,雑誌の連続写真など静止画で動作を確認するくらいしかなかったでしょうから,メジャーリーガーのプレーからその合理性を追求するといっても相当な労力がかかっていることは想像に難くありません.
科学する野球<投手篇>(1984)の刊行から40年近くになりますが,日本の野球はほぼ変わっていないのが現状です.残念ながら,村上氏が心血を注いで作り上げた野球理論は日本の野球界に受け入れられたとはいえません.
フライングエルボーで構える打者は増えていますが,体の中心の仮想軸でコマの様に回転して打つ打ち方は依然として受け継がれています.長距離砲に必須な「人」の形で打っているのは大谷選手くらいしかいません.
「科学する野球」は画期的な野球技術書でしたが,古い野球をほぼ全否定する内容であったため,当時の指導者の反発を買い,受け入れられなかった側面があることも否定できません.