右投げ左打ちの限界④-スラッガータイプと俊足好打タイプの役割分担

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スラッガータイプと俊足好打タイプの役割分担

 野球で得点するためには,ランナーを溜めるということと,溜めたランナーをホームに帰すということの二つが基本となります.

 ランナーを溜めるには出塁率の高い選手,いわゆる足が速く小技がきく俊足好打タイプの選手が,溜めたランナーを帰すには,長打を打てるスラッガータイプの打者が必要になります.

 このように打者には役割分担があるのですが,右投げ左打ちの打者がどちらに該当するかというと,まず,スラッガータイプにはあてはまらないといえます.

 なぜなら,インパクト後,両腕を伸ばしてボールに力を伝えるときに,非利き腕である左腕ではボールを強く押し込むことができないからです.

 ですから,長打力のある右投げ右打ちの打者をわざわざ左打ちに変えて,長打力を半減させる必要はありません

 右投げ左打ちの打者は,俊足好打タイプの出塁率の高い選手を目指すのには適していますが,スラッガータイプに向いていないことは,火を見るより明らかです.

右投げ右打ちの打者が左打ちに変更するメリット

 右投げ左打ちの打者は俊足好打タイプに該当しますが,右投げ右打ちの打者が左打ちに変更する場合,以下のような利点があります.

右投げ右打ちの打者が左打ちに変更するメリット

  • 利き目でボール見ることができる(利き手と利き目が一致する割合が大きい)ため,コンタクトしやすくなる.コンタクト率と選球眼の向上により,出塁率が高くなる
  • インパクトでは「前腕でボールを捉え,後ろ腕でボールを押し込む」動作となるが,利き腕の右腕でボールを捉えることになるので,ミートできる確率が高くなる
  • 一塁に近くなるため,内野安打が増え,出塁率が高くなる
  • ボールの角度が見やすくなる.右投手が多いことを想定すれば,外から入ってくる球道になるため打ちやすくなる.逆に対左投手の場合は,ボールが内から外へ入ってくるため,打ちにくくなるが,対戦は少ない.

首位打者を獲得した選手に占める右投げ左打ちの割合は?

セントラル・リーグ 首位打者 1950-2020
投打人数割合 %
右投右打2246.8
右投左打1327.7
左投左打1021.3
右投両打24.3
合計47
※引用元:ウィキペディア
パシフィック・リーグ 首位打者 1950-2020
投打人数割合 %
右投右打1941.3
右投左打1430.4
左投左打1123.9
右投両打24.3
46
※引用元:ウィキペディア

 1950年から2020年までに首位打者を獲得した選手のなかで,右投げ左打ちの打者が占める割合は,セリーグが27.7%パリーグが30.4%と共に30%前後の数字になっています.

イチローが出てきた頃から、右投げ左打ちにする子どもが増えた

イチローの「28年間」が変えた日本人の野球観
すべての野球ファンの中心にいたスター選手

広尾 晃 : ライター                             2019/03/27 5:10

 一方で王貞治、張本勲、門田博光、福本豊、川上哲治、榎本喜八など日本を代表する強打者は、左投げ左打ちであり「そのままでもいい」という考えもあった。

 少年野球の指導者は「イチローが出てきた頃から、自分から右投げ左打ちにする子どもが増えた」と話す。筆者もイチローが登場した頃、多くの子どもがイチローのフォームを真似て草野球をするのをよく見かけたが、イチローにあこがれる野球少年が右投げ左打ちに転向した例はかなり多いのではないか。NPBでの「右投げ左打ち」選手の増加はそれを裏付けている。

 また、かつて日本野球の野手の花形ポジションは長嶋茂雄、衣笠祥雄、掛布雅之などが出た三塁手だったが、最近は外野手に強打者が増えている。

 プロ野球選手が初めて参加した2000年のシドニー五輪の日本野球代表の中軸は、捕手の阿部慎之助(当時中央大、のち巨人)、一塁の松中信彦(ダイエーホークス)、三塁の中村紀洋(近鉄バファローズ)だった。外野は赤星憲広(JA東日本、のち阪神)、田口壮(関西学院大、のちオリックス)などだったが、2020年の東京五輪の侍ジャパンでは、筒香嘉智(横浜DeNAベイスターズ)、柳田悠岐(福岡ソフトバンクホークス)、秋山翔吾(西武)、吉田正尚(オリックス)、鈴木誠也(広島カープ)と外野手が中軸を担うと考えられている。この5人のうち、鈴木を除く4人は右投げ左打ちだ。

 イチローの後に同じ右投げ左打ちの松井秀喜が登場し、MLBに行ったことも大きいが、イチローの登場によって「右投げ左打ちの外野手」にあこがれる野球少年が増え、日本野球のスタイルも変わったのだ。

引用元:https://toyokeizai.net/articles/-/273241?page=3

 引用文によると,イチロー選手が出てきた頃から右投げ左打ちにする子どもが増えたとのことです.

 イチロー選手は,プロ3年目の1994年から2000年まで7年連続(MLB2001年の首位打者を含めると8年連続)で首位打者のタイトルを獲得しています.この期間に右投げ左打ちに変更した子供がプロに入って活躍するとすれば,かなりの年月を要することになります.

日本代表に選出された右投げ左打ちの選手

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オリンピック日本代表に選出された右投げ左打ちの選手 2000-2008
2000 シドニー五輪2004 アテネ五輪2008 北京五輪
捕手阿部慎之助——-阿部慎之助
内野手野上修(日本生命)小笠原道大*西岡剛
——-藤本敦士川崎宗則
外野手梶山義彦(三菱重工川崎)福留孝介青木宣親
赤星憲広高橋由伸森野将彦
人数445
※2000年シドニー五輪からプロ野球選手の出場が解禁.
※*は右投げ両打ち
※引用元:ウィキペディア

 オリンピックの日本野球代表のメンバーを調べたところ,2000年のシドニー五輪の時点で社会人野球の選手を含めると,すでに4人の右投げ左打ちの選手を確認できます.

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WBC日本代表に選出された右投げ左打ちの選手 2006-2017
2006 WBC2009 WBC2013 WBC2017 WBC
捕手——-阿部慎之助阿部慎之助——-
内野手岩村明憲岩村明憲鳥谷敬田中広輔
小笠原道大小笠原道大本多雄一——-
*西岡剛川崎宗則——-——-
川崎宗則——-——-——-
外野手福留孝介福留孝介糸井嘉男青木宣親
青木宣親青木宣親角中勝也筒香嘉智
イチロー亀井義行——-秋山翔吾
——-イチロー——-——-
人数7854
※*は右投げ両打ち
※引用元:ウィキペディア

 WBCの日本野球代表のメンバーも2006年には7人が選出されていますから,日本の野球界においては,2000年頃から右投げ左打ちの選手が徐々に増加していると考えられます.

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