大谷選手の得点圏打率については,「大谷選手の得点圏打率が低迷-好機で積極的になりすぎている」で初球から積極的に打つことが正しいことを述べました.
大谷選手の早打ちについて,もう少し詳しく見ていきます.
目次
早打ちだが,早打ちでない大谷選手
記事によっては,大谷選手が早打ちと書かれていますが,これはある意味正しく,ある意味正しくありません.2ストライクでの打数が多く,ボールをじっくり見て打つのが大谷選手の特徴です.
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2018-2023 大谷翔平 打撃成績 | |||||||
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打数 | 打率 | 本塁打 | 本塁打率 | 打点 | 打点/打数 | 得点圏打率 | |
2023 | 497 | .304 | 44 | 11.3 | 95 | 0.19 | .317 |
2022 | 586 | .273 | 34 | 17.2 | 95 | 0.16 | .314 |
2021 | 537 | .257 | 46 | 11.7 | 100 | 0.19 | .284 |
2020 | 153 | .190 | 7 | 21.9 | 24 | 0.16 | .143 |
2019 | 384 | .286 | 18 | 21.3 | 62 | 0.16 | .292 |
2018 | 326 | .285 | 22 | 14.8 | 61 | 0.19 | .350 |
大谷選手は本塁打の割に打点が少ないのが特徴です.得点圏打率はMLB6年で3割を3回記録しています.
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2018-2023 大谷翔平 カウント別打数割合 % | ||||||||
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ノーストライク | 1ストライク | ノー・1 ストライク | 2ストライク | |||||
大谷 | MLB | 大谷 | MLB | 大谷 | MLB | 大谷 | MLB | |
2023 | 24.5 | 21.0 | 19.5 | 25.1 | 44.1 | 46.1 | 55.9 | 53.9 |
2022 | 23.4 | 21.1 | 21.7 | 25.0 | 45.1 | 46.1 | 54.9 | 53.9 |
2021 | 18.2 | 20.8 | 22.2 | 24.9 | 40.4 | 45.7 | 59.6 | 54.3 |
2020 | 15.0 | 20.4 | 20.3 | 24.7 | 35.3 | 45.1 | 64.7 | 54.9 |
2019 | 25.0 | 20.8 | 18.2 | 25.0 | 43.2 | 45.8 | 56.8 | 54.2 |
2018 | 22.1 | 21.1 | 22.4 | 25.5 | 44.5 | 46.6 | 55.5 | 53.4 |
表からわかるように,大谷選手はノーストライクの打数割合はMLBよりも大きいので,早打ちといえます.
しかし,1ストライクの打数割合が小さく,結果として2ストライクの打数割合が大きくなっているため,早打ちとはいえません.
打席割合と打率,得点圏打率との関係
大谷選手の2018-2023のノーストライクの打数割合と打率,打点/打数,本塁打率,得点圏打率との相関を調べたところ,打率,得点圏打率との間に相関が見られました.
ノーストライクの打数割合が大きくなるほど,打率,得点圏打率が上がっていることがわかります.
続いてノーストライク,1ストライク(2ストライクに追い込まれる前)の打数割合と相関を調べたところ,打率,得点圏打率との間に強い相関が見られました.
相関係数が0.8685(打率),0.9061(得点圏打率)とかなり強いので,大谷選手が2ストライクに追い込まれる前に打つ機会を増やせば,打率,得点圏打率が上がると考えられます.
打点と本塁打に関しては相関が見られなかったので,早打ちしても2ストライク後に打っても成績に影響はないようです.