大谷翔平選手は本塁打王になれるか？①－外角高めを打てない弱点の克服

　8/30現在，大谷選手は42本塁打で2位マルセル・オズナ選手に５本の差をつけています．大谷選手が本塁打王になるためには，２つの弱点を克服する必要があります．

　大谷選手の２つの弱点

• 外角高めのボールをホームランにできない
• 左投手の低めのボールをホームランにできない

外角高めのボールをホームランにできない

　まず，2018年から2022年までの大谷選手のコース別本塁打数について確認します．

　コース別本塁打数を見てわかるとおり，大谷選手は外角高めのボールをホームランできていません．

　2018-2022の5シーズンで127本の本塁打を打っていますが，外角高めのストライクゾーンのホームランは１本のみで．ボールゾーンでも３本しか打てていません．

　2018-2022の外角高めの成績は，ストライクゾーンに限ると打率.254，ボールゾーンを含めると打率.189となっています．

2023年から外角高めのボールに対応

　ＭＬＢ移籍後，5年間外角高めのボールに手こずっていた大谷選手ですが，2023年から対応し始めます．

　2023年は135試合の出場にもかかわらず，外角高めのボールを４本塁打，2024年は8/30現在で外角高めのボールをストライクゾーン，ボールゾーン合わせて５本塁打を記録しています．

　2018-2022の5シーズンで外角高めのボールを本塁打できたのは，ボールゾーンも含めてわずか４本でしたが，2023年，2024年ともにこの４本を上回っています．

　2023年から外角高めのボールへの対応が明らかに改善されています．このことは本塁打王のタイトルを獲得するうえでとても有利になります．

打球分布図は左方向から広角へ変化

　2018-2022の打球分布図と2023-2024（8/30現在）の打球分布図を比較します．

　外角高めのボールに苦戦していた2018-2022は打球がセンター方向から左方向に偏っているのに対し，2023-2024（8/30現在）は広角に打球が飛んでいることを確認できます．

　2018-2022年は手首の返しをあまり使わず，左方向に打ち返しているため強い打球が打てていないと考えられます．手首を返して引っかけた打球は１，２塁間に多く飛んでいます．

　2023-2024は左方向だけではなく，センター方向，右方向にも強い打球が打てていると考えられます．引っかけて１，２塁間に飛ぶ打球が減り，右方向のヒットが多くなっています．

　これは大谷選手の技術的な進化を意味しています．手首の返しや肩の回し具合などを調整して，外角高めのボールに対し強い打球が打てる技術を身につけたということです．

　１つ目の弱点は克服されていることになります．