ハンク・アーロン選手との比較
動画は大谷選手が低めのボールをゴルフスイングで本塁打を打ったときのものです.
大谷選手はグリップを体から離してワキが空いたままスイングしており,肩が回らず手元が先に前方移動しています.バットのタメもなく,人の形でも打てていません.
ハンク・アーロン選手は,両肩を結ぶ線が打球の方向に直角になるまで肩を回しており,インパクトで顔が前方に向いています.
大谷選手は打球が センター(右中間寄り) に飛んでいるので,肩はもっと回っていなければなりませんが,肩を回さずに打っています.
そのため,顔は前方に向かず,地面に置いたボールを打ったゴルファーと同じ顔の向きになっています.
新田打法(ゴルフスイング)で打ってはいけない理由
新田打法(ゴルフスイング)で打ってはいけない理由は次の通りです.
新田打法(ゴルフスイング)で打ってはいけない理由
- ボールを強打するためには,後ろ腕でボールを押し込むことが必要.
- 後ろ腕でボールを強く押し込むためには,打球線(弾道)に対して肩とバットを90°に交わらせなければならない.
- 肩を回さなければ,2を実現できない.
以上の理由により,肩を回さない新田打法(ゴルフスイング)は否定されることになります.
王貞治選手のスランプの原因
「科学する野球」に,王貞治選手のスランプがゴルフ打法に起因していたことについて言及した箇所がありますので,引用します.
プロ野球選手のゴルフ愛好者はずいぶん多くなったものです.とくにシーズン・オフでは,トレーニングにもってこいという訳で,目下大流行.それはそれで結構だが,ゴルフに凝り出し,ゴルフ理論を下手にバッティングに採りいれると惨めなことになる.
そのよい一例が,一九七三年,三冠王となった王貞治選手のこのバッティング・フォーム.このフォーム(図1-①)は,一九七三年の六月頃, なかなかホームランが出なくて悩んでいた時のもので,これは明らかにゴルフ.これではいかな王選手でもスランプに喘いだのは当然.このあと王選手がどのようにして立ち直ったのか,私は知らないが,とにかくこの大打者をしてさえも,野球(バッティング)でゴルフをやるとこの通り.スプリング・キャンプに入っても,シーズン・オフ中にやったゴルフの味が忘れられず,ティー・バッティングでゴルフの練習をして楽しんでいる選手が多く見受けられる.これではよい打撃成績は望むべくもない.
タメて打つという点では,バッティングもゴルフも変わりはないが,その打つ動作,力の求め方が違うことを,頭でも,体でもわかっていないで,ゴルフも野球も同じであるとかわかったようなことをいっていると,みじめなことになる.
引用元:科学する野球・投手篇,p.25,29
王選手がスランプに陥っていたときは,図1①のように肩が回らないゴルフスイングになっていました.これは下図の新田恭一氏の④と同じでバットのタメがありません.
インパクトでの顔の向きも,大谷選手と同じく下向きになっており,ハンク・アーロン選手のように前を向いていません.
また,王選手は③のゴルファー同じく手もとが起きているため,トップハンドが背屈,ボトムハンドが掌屈し,②の打者のように空手で打つことができません.