2年連続首位打者のルイス・アラエス選手は,9/15現在,打率.320でナショナルリーグのトップに立っています.このままタイトルを獲れば3年連続で首位打者となります.
打球分布図からアラエス選手の打撃を解説します.
外角球を引っ張らない
ベースボール・サバントのスタットキャスト・サーチから,アラエス選手が首位打者(.354)となった2023年の打球分布図を見てみます.
ゾーンは下図のように外角(ボールゾーンを含む)を指定します.
アラエス選手の打球分布図を見ると,右方向(特に外野)にあまり打球が飛んでいないことがわかります.
内野は右方向,左方向両方に飛んでいますが,右方向はほぼアウト(FIELD OUT)になっています.これは引っかけた打球が1,2塁間に飛んでいるということです.
打球分布図をMLBの左打者(アラエス選手は左打者)に限定して,比較すると次のようになります.
左打者でコースを外角球に限定しても,MLBの打者は広角に打球が打っています.外角球にもかかわらず本塁打は右方向のほうが多くなっています.
同じ左打者のアラエス選手が右方向に引っ張らない理由を考えてください.
理由は右投げ左打ちだから
ドジャースのフレディ・フリーマン選手の打球分布図を見てみます.
フリーマン選手の打球分布図を見ると,アラエス選手と同様に左方向へ打球が飛んでいることを確認できます. ただし,アラエス選手と比べると右方向への打球も多くなっています.
ヒットにした打球に限定すると,本塁打などほぼ左中間方向に打球が飛んでいることがわかります.
アラエス選手もフリーマン選手も右投左打です.「作られた左打者」が成功するためには,右方向に引っ張ることは御法度です.
なぜ右方向に引っ張ってはいけないのか
下図は2024年9月15日現在のルイス・アラエスの外角球の打球分布図です.
2023年と同様に真ん中より左方向に打球が飛んでいるので,首位打者のタイトルを獲ることはほぼ間違いないといえます.
ヒットの打球は2023年よりもより左方向に分布していることを確認できます.
「作られた左打者」が右方向に引っ張ってはいけない理由については,次の点がキーワードになります.
- 右腕(利き腕)主導のスイングになる
- 引っ張らないことを強く意識しても右腕が勝ってしまう
- 引っかけることを回避するため肩を回さない(ゴルフスイング)
- 肩を回さなければ,中心衝突で左方向に打つことが可能
これらのキーワードから理由はおわかりいただけるかと思います.
フレディ・フリーマン選手の記事でも詳しく解説していますので,興味のある方はご一読ください.
- MLBで活躍するもう一人の大谷選手ーゴルフスイングで打つフレディ・フリーマン選手
- 「ゴルフスイングは打てない」は本当か-フレディ・フリーマン選手の成績
- フリーマン選手の打撃理論①-引っ張らずにショートにライナーを打つ
- フリーマン選手の打撃理論②-ゴルフスイングは「作られた左打者」にとって理にかなったスイング
- フリーマン選手の打球分布図①-外角のボールはショートに打つ
- フリーマン選手の打球分布図②-真ん中のボールはショートに打つ
- フリーマン選手の打球分布図③-内角のボールは左方向に打つ
- 「作られた左打者」の成功のカギー左方向に打てるか
- 「作られた左打者」の三原則-フリーマン選手が活躍できる理由
- フリーマン選手と大谷選手を比較するーゴルフスイングの違い