スティーブン・クワン選手は４割打者になれるか

選手情報

• 身長：175.3 cm，体重：77.1 kg
• 左投左打
• 2018年のMLBドラフト5巡目（全体163位）でクリーブランド・インディアンスから指名
• ワシントン高等学校ーオレゴン州立大学ークリーブランド・ガーディアンズ (2022 – )
• 2022年4月2日にメジャー契約を結んでアクティブ・ロースター入りし、開幕戦となった4月7日のカンザスシティ・ロイヤルズ戦に先発出場してメジャーデビューを果たした
• 走攻守に定評がある外野手で，「ベイビー・イチロー」の異名を持つ．打撃では巧みなバットコントロールを誇るコンタクトヒッターであり，高い出塁率と空振りの少なさが魅力．外野守備では堅実なプレーが持ち味
• 父は中国系アメリカ人であり、母は日系アメリカ人．母方の祖父母は日本の山形県出身で，第二次世界大戦後にアメリカのカリフォルニア州に移住して娘を出産した．
• 2023年のWBCでは日本代表入りが模索され，本人も加入に前向きだったが，メジャーリーグ機構に「資格がない」と判断され実現しなかった

※引用元：ウィキペディア

追い込まれても打てるクワン選手

　「大谷選手の得点圏打率が低迷－好機で積極的になりすぎている」では，ＭＬＢ2023年度のカウント別打率を載せています．表からわかるように打者は追い込まれるほど打てなくなります．

　ノーストライク，1ストライクのカウントではＭＬＢ打者平均で打率3割台ですが，2ストライクに追い込まれると打率は1割台になります．

　クワン選手の最大の強みは，2ストライクのカウントで打率を残せるところです．ＭＬＢ平均では1割台しか打てませんが，2024年は高打率を維持しています．

　3-0のカウントで打率が—-となっているのは，ノースリーのカウントではバットを振らないというクワン選手の野球哲学によるものです．

　詳しくは，「初球の甘いボールを平気で見送る打者－スティーブン・クワン」をご覧ください．

　表を見やすくするため，ノーストライク，1ストライク，2ストライク別にまとめます．

　2024年は7/13現在２ストライクの打率が.321で，ノーストライクの打率.319を上回っています．　クワン選手には２ストライクで高打率を残せる強みがあります．

　４割打者になるためには，追い込まれる前のノーストライク，１ストライクでかなりの高打率を残す必要があります．

打率.398でのカウント別打率・カウント別打数割合

　クワン選手は規定打席に達する前の2024年6月16日時点で打率.398をマークしています．このときのカウント別打率とカウント別の打数割合は次のとおりです．

　表からわかることは，クワン選手はノーストライクの打数が少なく，ノーストライクの打率が低いことです．いずれもＭＬＢ平均を下回っています．

　なぜこのようなことになるかというと，「初球の甘いボールを平気で見送る打者－スティーブン・クワン」で述べたように，クワン選手は3-0のカウントでバットを振らないと決めているからです．

　打率4割を目指すのであれば，追い込まれる前のノーストライク，1ストライクの打席を増やす必要があります．

　しかし，クワン選手は3-0のカウントではバットを振らないため，打数が増えず打率も上がりません．

　打率4割を達成するためには，ノーストライク，１ストライクの打率が.450，２ストライクの打率が.350であることが目安となります．

　クワン選手は２ストライクに追い込まれても打てる強みがあるので，打率.350は可能ですが，3-0でバットを振らなければ，打率.450は難しいでしょう．

　クワン選手の野球哲学が変わらない限り，4割打者になることはほぼ不可能と考えられます．