右投げ左打ちの打者は「作られた左打者」であり,後ろ腕(非利き腕)で押し込みができないという欠点をもっています.
前腕(利き腕)が強いため,右腕主導のスイングになりがちです.右腕主導のスイングになると,横振り,右方向に打球を引っかけてしまうといったデメリットに悩まされることになります.
「作られた左打者」がパフォーマンスを向上させるための三つの原則について解説します.
肩を回さない
最初の原則は「肩を回さない」です.
「科学する野球」の中心衝突ではボールが来た方向に体を向けて打ち返します.「作られた左打者」が投手に正対するまで肩を回して打ったとしたらどうなるでしょうか.
右腕が勝ってしまうため,横振りのスイングとなり引っかけってしまう可能性が大きくなります.
肩を回さずにインパクトしておけば,仮に横振りになった場合でもボールを引っかけるリスクを最小限に抑えることができます.
左方向に打つ
第二の原則は「左方向に打つ」です.
第一の原則に従い肩を回さずにインパクトすると,体は左方向に向きます.体が左方向を向くということは,左方向に強い打球を打てるということです.
両肩を結ぶ線と打球線(弾道)が90°で交わっているほうがボールを強打できるので,肩を回さないゴルフスイングで左方向に打つことは理にかなっています.
また,左方向に打つことによって,横振りのスイングとなり引っかけってしまうリスクを軽減することができます.特に外角球は手打ちになり,引っかけやすいため,「外角球を左方向に打つ」ことが重要です.
グリップを打ち返す方向に直線的に移動する
第三の原則は「グリップを打ち返す方向に直線的に移動する」です.
「フリーマン選手の打撃理論①-引っ張らずにショートにライナーを打つ」で,フリーマン選手は手をバッターボックスのラインに沿って真っすぐ移動させることを意識してスイングしていました.
これは引っ張らないための防止策ですが,バッターボックスのラインではなく,打つ方向のラインに沿って手をまっすぐに移動させるほうが正確です.
実際にフリーマン選手は左方向に打つときに,グリップを左方向に直線的に移動させてバットを振っています.
画像を見るとわかりますが,フリーマン選手はグリップを直線的に移動させてスイングしているので横振りにならず,打ち終わった後も肩はあまり回っていません.
大谷選手は肩を回して手首を返すため,横振りとなり打ち終わった後は体が一塁側に流れています.
グリップを直線的に移動してスイングすることは,ボールに大きな力を伝えるで効果的ですが,横振りして引っかけることの防止にもなります.