フリーマン選手の打球分布図③－内角のボールは左方向に打つ

「フリーマン選手の打撃理論－引っ張らずにショートにライナーを打つ」の動画を観ると，フリーマン選手が内角のボールをショートに打つことを意識していることがわかります．

　実際に内角のボールをどこに打ち返しているのかを確認します．

打球分布図－内角

　2023年のフリーマン選手の打球分布図（内角）

　打球分布図を見た限りでは，外野は右方向が多く，内野はほぼ広角にボールが飛んでいます．

　フリーマン選手は動画の中で内角のボールも引っ張らないといってますが，実際は右方向にも多く打球が飛んでいます．

打球分布図－内角（ヒットのみ）

　打球分布図をヒットとアウトに分けて確認します．ヒットのみの打球分布図は次のとおりです．

　内角のボールをヒットした打球だけに限定すると，ほぼ右方向に打球が飛んでいることを確認できます．ヒットになる打球はミートができていると仮定すると，比較的バットを振る方向に打球が飛んでいるとみなすことができます．

　動画の中でフリーマン選手はバッターボックスのラインに沿ってグリップを真っ直ぐ移動させるといっていましたが，実際は右方向にグリップが移動しています．

　本塁打になる打球は，ほぼ思いどおりのスイングができていると考えられるので，意図した方向に打球が飛んでいるはずです．

　本塁打12本のうち左方向が1本，右方向が11本で，こちらも右方向にボールが飛んでいます．「内角のボールを左方向に打つ」という打法は実践されていません．　

打球分布図－内角（アウトのみ）

　アウトになった打球の打球分布図は次のとおりです．

　アウトになるということは，当たりそこねや引っかけた打球が多いと考えられるため，スイング自体がフリーマン選手の意図したものになっていないことが推測されます．

　外野，内野ともにほぼ広角にボールが飛んでいますが，右方向に比べて左方向の打球の飛距離が出ていません．これは左方向に打つときに後ろ腕で押し込みができないためです．また，そもそも内角のボールを左方向に打つこと自体に無理があります．

　内野の左方向の打球は後ろ腕の押し込み不足によるもの，右方向の打球はバットが横振りになって引っかけているか，手首をこねて打っている可能性があります．

押し込みが不足するため左方向は飛距離が出ない

　アウトになった打球のうち，左方向に飛んでいる打球は飛距離が出ていません．

　動画を観ると，フリーマン選手の腕の振りは左方向に打つ腕の振りになっていることを確認できます．肩を回さず，打ち返す方向に正対しており，フリーマン選手の意図したとおりのバッティングができています．

　なぜヒットになっていないのかというと，「後ろ腕によるボールの押し込み」ができていないからと考えられます．作られた左打者の欠点により，ボールの押し込みが不足して球威に負けています．

　左投げ左打ちの打者でも内角のボールを左方向へ強打するのは難しいので，右投げ左打ちの打者では特に球威のある速いボールは遠くに飛ばせなくなります．　

　この動画でもフリーマン選手が意図的に内角のボールを左方向に打っていますが，球威に押されボールが飛んでいません．内角高めのボールを逆方向に強打するのは左投げ左打ちの打者でも難しいのですが，フリーマン選手は引っ張らないことを徹底しています．

　「フリーマン選手の打球分布図①～③」から，フリーマン選手が引っ張らずに左方向に打つことを頑なに実践していることがわかります．

　引っ張らない打ち方を徹底することで，手が反応してセンター方向，右方向に打つときに引っかけずにボールを強打できていると考えられます．

　右投げ左打ちで伸び悩んでいる打者は，フリーマン選手の打撃理論を実践することをお勧めします．