「フリーマン選手の打撃理論-引っ張らずにショートにライナーを打つ」の動画を観ると,フリーマン選手が外角のボールをショートに打つことを意識していることがわかります.
実際に外角のボールをどこに打ち返しているのかを確認します.
打球分布図-外角
2023年のフリーマン選手の打球分布図(外角)
打球分布図を見た限りでは,ショート方向に飛んでいる打球は多いものの,右方向(特に内野)にもボールが飛んでいることを確認できます.
フリーマン選手は動画の中であれほど引っ張らないといっていたのに,結構右方向にも打球が飛んでいるではないかと思う人も多いかもしれません.
打球分布図-外角(ヒットのみ)
打球分布図をヒットとアウトに分けて確認します.ヒットのみの打球分布図は次のとおりです.
外角球をヒットした打球だけに限定すると,左中間に多く打球が飛んでいることを確認できます.ヒットになる打球はミートができていると仮定すると,比較的バットの振る方向に打球が飛んでいるとみなすことができます.
本塁打になる打球は,ほぼ思いどおりのスイングができていると考えられるので,意図した方向に打球が飛んでいるはずです.
本塁打7本のうち左中間に6本,右方向は1本だけですから,フリーマン選手のことばどおり「外角球をショート方向に打つ」という打法が実践されているといえます.
打球分布図-外角(アウトのみ)
アウトになった打球の打球分布図は次のとおりです.
アウトになるということは,当たりそこねや引っかけた打球が多いと考えられるため,スイング自体がフリーマン選手の意図したものになっていないことが推測されます.
ヒットの打球分布図に比べて,内野に飛んでいる打球が多くなっていることがわかります.左方向の打球であれば打つ方向は間違っていませんが,右方向の打球が多いのは,バットが横振りになって引っかけているか,手首をこねて打っている可能性があります.
左方向に打つ難しさ
アウトになった打球のうち,右方向の内野に飛んだ打球の中には引っかけ気味のものもあります.
動画の打席では,外角低めのチェンジアップを手首をこねて引っかけているように見えます.右方向の内野に飛んだ打球がすべて引っかけた打球になっている訳ではありませんが,1,2塁間のゴロが多くなっているのは事実です.
「フリーマン選手の打撃理論-引っ張らずにショートにライナーを打つ」の動画で,フリーマン選手は引っ張らずにショートにライナーを打つことを徹底していました.にもかかわらず打球は右方向にも飛んでいます.
これは右投げ左打ちの打者にとって,左方向に打つことがいかに難しいことかを物語っています.引っ張らないように気をつけているフリーマン選手でさえも,完全には左方向に打つことができていません.
フリーマン選手はゴルフスイング(肩を回さない)で,左方向に強い打球を打つことを徹底することで,「作られた左打者」として成功していると考えられます.