昔の方がもっと飛んでた.それはキレがあったから.
【日本ハム】新庄剛志監督「デブじゃね?やせない?」大食漢・清宮幸太郎の脇腹つまみダイエット指令
11/10(水) 6:00配信
日本ハムのビッグボス・新庄剛志監督(49)が9日、清宮幸太郎内野手(22)にダイエット指令を下した。沖縄・国頭(くにがみ)秋季キャンプ視察2日目。この日は積極的に選手に言葉をかける場面が多かったが、中でも期待の若き大砲候補には「ちょっとデブじゃね? ちょっとやせない? やせた方がモテるよ」と直接減量指令。スター集団の形成に向けて、まずは甲子園を沸かせたスラッガーにメッセージを送った。
ド直球な言葉で、変化を求めた。メイン球場での練習を視察中。ビッグボスは守備に向かう清宮に声をかけると、脇腹をつまみながらこう口にした。
「ちょっとデブじゃね? ちょっとやせない? やせた方がモテるよ。かっこいいよ」 柔らかい言葉を織り交ぜてのダイエット指令。若き大砲候補からは「やせてしまったら打球が飛ばなくなるのが怖いです」と言われたというが、そんなことはお構いなし。
「変えないと。今もそんなに打球飛んでないよ。昔の方がもっと飛んでた。昔の方がスリムじゃなかった? それはキレがあったから。今はちょっとキレがない気がするから、やせてみよう」
高校時代から公称では1キロ増だが、早実で高校通算最多の111発をマークし、7球団競合で日本ハムに加入してからプロ4年間で通算21本塁打。さらに今季は初めて1軍出場ゼロに終わる悔しさを味わった直後だからこそ、ストレートな言葉で自分から変わることを求めた。
仙台~大宮間(1時間8分)の新幹線内で牛タン弁当7個を平らげるほど大食漢の清宮にとっては高いハードル。だが、その厳しさを乗り越えることも成長につながると説く。
「ダイエットはものすごく精神的に鍛えられる。スタイルを保っている人は自分に負けずしっかりした気持ちがあるんじゃないかな」
報道陣にも清宮を随時チェックすることを求めながら、最後は「清宮くんも弁当をできたら3個くらいに…。それでも、調整しているんだから。素晴らしいと思いますよ」と笑顔。これには清宮も「やってみなきゃ分からないところもありますし、答えは春のキャンプでというところかな」と意欲を示した。
ダイエットに加えて、会話の中では股関節を柔らかくすることも求めた。「春までにグニャグニャになっていたらびっくりするよね。テーマはいっぱいありますよ、彼は。やせてきたらみんな褒めてね」。説得力のある言葉の数々で選手たちの心を引きつけるビッグボス。「今、ここにいるのは2軍のメンバー。思い切って、勇気を持って変えていかないと、スター、タレントにはなれないと思っていい」。この言葉に全てのメッセージが詰まっている。(後藤 亮太)
報知新聞社
引用元:https://news.yahoo.co.jp/articles/c015737a4211a9fe51b998fec5aac2cee75c69a5
新庄監督が清宮選手に減量するようにアドバイスをしているのは,体重を落とした方が身体にキレが出てスイングスピードが速くなり,打てるようになるのではないかという考えが根底にあります.実際に身体の大きな人は動きが鈍く,身体の小さい人は動きが速いといえます.
やせてしまったら打球が飛ばなくなるのが怖い
新庄監督の減量指令に対して清宮選手は「やせてしまったら打球が飛ばなくなるのが怖いです」と言っています.
「山川穂高選手の本塁打力学①-重さで飛ばす」で述べたように,運動エネルギーは1/2×m(質量)×v(速度) の二乗で表されるので, ステップの速度が一定ならば,体重が重いほうが,m(質量) が大きくなり,値が大きくなります.
減量すれば運動エネルギーが小さくなるため,体重の重さに頼った打ち方をしている場合は,打球が飛ばなくなる可能性があります.
清宮選手の発言は,体重の重さに頼った打ち方をしていることを自覚していることの現れかもしれませんが,もしそうであるならば,痩せることによってスイングのタメをつくるなどの動作の改善が期待できる側面があります.
山川穂高選手のような体重のある打者は,改善すべき動作があったとしても,ステップに伴う前方移動にブレーキをかけることで生み出される 一次運動エネルギー を利用してボールを飛ばすことが可能です.
新庄監督の「変えないと。今もそんなに打球飛んでないよ。昔の方がもっと飛んでた。昔の方がスリムじゃなかった? それはキレがあったから。今はちょっとキレがない気がするから、やせてみよう」という発言は,「体重が重いとキレがない,スリムなほうがキレがある」ということを言っています.
「無負荷で空振りする0%群で,最大速度が最も増加したのはなぜか?」 で述べたように,筋は関節をまたいで関節をまたいで付着しており,筋が収縮することで付着している部位を引っ張ることになります.
例えば上腕二頭筋が収縮すると,前腕という部位を引っ張ります.体重のある選手は関節をまたいで筋が引っ張る部位が重くなるため,過度の負荷がかかり動作が鈍くなります.動作が鈍くなればキレもなくなります.
体重が重くなると体のキレがなくなることは,慣性モーメントからも説明が可能です.
『「科学する野球」慣性モーメントを小さくする』で述べたように,「回しにくさ」の指標である(慣性能率)Iは,m(質量)✕r(回転半径)の二乗で表されるので,体重が増加すれば,m(質量)が大きくなり,慣性モーメントは大きくなります.
慣性モーメントが大きくなると,打撃,投球の際に,脊柱を軸に体幹を回旋する動作等の回転運動の速度が遅くなり,体のキレが悪くなります.
清宮選手が痩せることによって,体重の重さに頼った打ち方から脱却し,スイングスピードを高めるような動作の改善を達成することができれば,パフォーマンスの向上が期待できます.
減量しても,体重の重さに頼った打ち方を続ければ,打球は飛ばずパフォーマンスは低下すると考えられます.