2020年8月23日 7:02 PM
打者はホームベースの2m手前でボールを見失っている

バッティングの練習ではコーチからよく「ボールから目を離すな」と言われる。ピッチャーが投じたボールをあの細いバットで正確にはじき返すためには、ボールから目が離れると精度が落ちるからだ。
しかし、科学的検証から「ボールから全く目を離さないことは不可能で、実際にはホームベースの約2m手前でボールを見失っている」(同氏)という。人間が眼球と頭を動かしてボールを追うときのスピード(1秒当たりの角度)は毎秒200°が肉体的な限界であるのに対し、例えば時速160kmのボールを追い続けるには毎秒1000°のスピードが必要という。打者のスローモーション映像でボールをインパクトの瞬間まで見ているように見えても、実際には「見ていない」のだという。
加えて、打者は非常に短時間の間に、打つかどうかの判断をし、スイングをしてバットに当てるという複雑な作業をしている。通常、ピッチャーが投げたボールがホームベースに到達するまでには0.45秒かかる。一方、打者はボールを「打つ」と決めた場合、脳から筋肉への指令に0.1秒、バットスイングに0.16秒、つまりスイングの決定からインパクトまでに合計0.26秒の時間を要する。
打撃という“作業”自体が複雑なうえ、約2m手前でボールは見えなくなる――。では、なぜプロの打者は高速かつ激しく変化するピッチャーのボールを打てるのか。それは、練習という経験で積み重ねた予測があるからだ。「予測プログラムによって人間の動きの限界を補っている」(神事氏)。
引用元:https://xtech.nikkei.com/dm/atcl/feature/15/110200006/120200054/?ST=nxt_thmdm_mono
国学院大学人間開発学部健康体育学科 助教の神事努氏によると,投手が投げたボールがホームベースに到達するまでに0.45秒かかるとき,打者はスイングの決定からインパクトまでに合計0.26秒(脳から筋肉への指令に0.1秒、バットスイングに0.16秒)の時間を要するとのことです.
つまり,投手がボールを投げたときから0.19秒(0.45-0.26)の間に球種を判断し,どのような軌道でボールが来るのかを予測しなければなりません.
また,ボールを追うスピードに限界があるため,打者はホームベースの約2m手前でボールを見失っているとのことなので,インパクトのときにボールは見ていないことになります.
SFF( スプリットフィンガー・ファストボール )は腕の振りがストレートと全く同じであるため,投手のリリースから0.19秒の間にボールの軌道を予測することが困難になります.
実際に投げられたボールがSFFであっても,腕の振りがストレートと同じならば,打者は0.19秒の間にストレートの軌道を予測して,脳から筋にスイングの指令を送ります.スイングの指令が出ているので空振りすることになります.
球速が遅ければ,途中でボールになると判断して判断してバットを止めることができるかもしれませんが,SFF は人先指と中指の間が狭く球速もストレートに近いため,修正がきかずバットを振ってしまうことになります.
他の変化球では腕の振りも球速も遅くなるため,対応できる余地が残されていますが, SFFのようにストレートと同じ腕の振りで球速もあるということになると,最初からSFF とわかっていない限り対処のしようがありません.
ストレートが速い投手がSFFを投げれば,誰でも打者を抑えられるということになります.
見方によってはずるい球種ともいえます.SFF を投げる時点で,すでに打者よりも優位に立っていることになります.